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コラム/てく。/ワールド&ワールド第2話:されど我はパンを喰らう
このコラム「ワールド&ワールド」では、PLのリアル世界の事象を織り交ぜつつ、
エンファータなどのファンタジー世界を紐解いていきます。
第1話:気候帯からみる作物では、
気候帯ごとに栽培できる作物のお話をしました。
しかし、その結果、レングラート地方のような熱帯では、小麦はとれないわ、
オリーブオイルはないわ、ブドウがないからワインも作れないわと、
大変なことに…!
このままではレングラート地方ではパンが食べられなくなる…!
ということで、「第2話:されど我はパンを喰らう」の始まり始まり。
よろしくお願いしますっ。
パンが無いならケーキを食べればいいじゃない †
「パンが無いならケーキを食べればいいじゃない」とは、
どこかのフランス王妃が言ったとされる、世間知らずの代名詞のようなセリフですが、
例えば彼女がこう言ったとしたら、どうでしょう?
「パンが無いなら、他のを食べればいいじゃない」
これだと、為政者としてはかなり無神経ではあるものの、
世間知らずとは言われなかったかもしれませんね。
それはさておき、あの王妃のセリフは、
今回のテーマにも通じる重要な示唆があります。
つまり、小麦がないなら、他のものでパンを作ればいいじゃない。
パンになりうるもの †
まずそもそも、パンってなんでしょう?
Wikipediaによると、「小麦・ライ麦などの穀物の粉に水などを加えてこね、それを焼いたもの」とあります。
つまり、小麦じゃなくても、他の穀物でも粉にしてこねて、焼けば、それがパンです。
トウモロコシ †
熱帯で栽培される食材で、パンに出来るもののうち、
真っ先に思いつくのは「トウモロコシ」です。
みんなタコスを食べたことはありますか?
あのタコスを包んでるパンはトルティーヤと言って、
トウモロコシの粉で作られてるのです。
メキシコなどの中南米では、トルティーヤはメジャーなパンで、
レングラート地方はトウモロコシの栽培が盛んなので、
レングラートの人がよく食べているパンといえばきっとこれ。
―― これでレングラートでもパンが食えるぞー!
と、言いたいところなのですが、
トルティーヤはいわゆる種なしパン(酵母で発酵させないパン)で、
非常に薄いのです。ピザ生地みたいなものですね。
レングラートでは、ふかふかのパンを食べることは出来ないのでしょうか?
お米 †
最近、日本では「米粉パン」というのが人気ですね。
あれは使えないでしょうか?
レングラートでは、パクタックたちがお米を栽培していることですし、
食材としては存在してますから。
しかし、調べると、どうも米粉だけではパンが作れず、
小麦も混ぜないといけないらしい。
(お米だけではグルテンがなく発酵しない)
どうも、パンに出来る米粉というのは、現代科学の産物のようです。
白玉粉的なものは作れそうですが、これは無理そうですねっ。
まずそもそも、人間世界でのお米の流通量も少なそうだしな。
しかし、まだ、候補はあります――。
パンノキ †
熱帯の植物には、文字通り「パンノキ」というものがあります。
なんでも、蒸すとパンのような食感で、サツマイモのように甘みがあるのだとか。
これはイケるかもしれません。
「(ふかふかの)パンを食べたいなら、パンノキを食べればいいじゃない」と、
ドヤ顔で言えそうです。
しかし、こやつは食感がパンに似てるというだけで、
そもそもパンですら無いけどな。
だが、なあに、まだまだ、候補はある――。
キャッサバ †
ブラジルには、キャッサバ粉から作られた、「ポン・デ・ケイジョ」というパンがあります。
Wikiを見る限り普通のパンのように見える!
しかもチーズパンとは美味しそう!
表面はパリっと堅く、中は柔らかいらしい。実にいいですね。
レングラート地方でのキャッサバの栽培量はわかりませんが、
キャッサバは栽培が簡単だそうですし、地球でもジャガイモに次いで
生産量が多いイモ類なので、豊富に栽培されていると思ってもいいでしょう。
これでパンは決まりだなっ!
アメリカ風ビスケットに似ているらしいので、ちょっとボソボソしてそうな気もするが気にしない。
しかし、小麦パンじゃない! †
トウモロコシ、お米、パンノキ、キャッサバと様々なパンを探して来ましたが、
小麦系のパンは食べられないのだろうか…。
という声がどこから聞こえてきそうです。
もちろん、小麦系の植物は、小麦・大麦・ライ麦以外にもいろいろあります。
イネ科植物なら、それなりにどれも候補になりうるかもしれません。
エンバクとかで作るパンもありますしね。
エチオピアで栽培されている「テフ」という植物のように、
雑穀で代用パンを作れるかもしれません。
しかし、ファンタジーなんですから、ファンタジー的に解決するという方法も、あります。
ないなら作ってしまえばいい †
エンファータでは、高温多湿で栽培でき、海水で育つ、クオ=ルートの麦と呼ばれる植物があります。クオ麦とも呼ばれるその植物は、小麦とほぼ同じ性質の植物で、熱帯で海文化のレングラート地方では特に栽培されています。
エンファータのワールドマスターTEKは、そういいました。
そう、気候的に小麦が育てられないなら、熱帯でも育つ、小麦のような別の何かを作ってしまえばいい。
実にファンタジーらしい解決策です。
海水(塩水)で育つとか、大半の陸上性作物の常識に反してますが、
ナインズ(神様)が作った植物ならしょうがないな!
これで問題は解決。
レングラートの人は、トウモロコシやキャッサバなど様々なパンを食べつつ、
しかもクオ麦のパンを食べ、ついでにエールビールも飲めるという、
実に豊かな食生活を送っているのが明らかになりました。
――問題はワールドマスターじゃないと、なかなかそこまで踏み込めないってことだがな。
しかし、ワールドマスターに提案しちゃえばいいのだ。
ということで、結論。
レングラートでも小麦系食べ物を楽しめます!
というところで、第2話おわり。
読んでくれてありがとうございました。
あ、ワインとかは? †
ちなみに、ワインに関しては、レングラートワインというものがあります。
チチャという、紫トウモロコシから作ったお酒で、色はワイン色で、味は酸味のあるぶどうジュースみたいなもの。
それに、甘味やフレーバーを混ぜたものが、レングラートではワインとして流通しているそうです。
もちろん、お隣の温帯湿潤なアルケナル地方から輸入される、
本物のワインもあるんですけどね。
舶来物で高級品だそうですよっ!
オリーブオイルに関しては、アルケナル地方から輸入するしかない。
まあ、無くたってなんとかなるさ。パーム油とか、いろんな油があるしな!
そして、トマトとジャガイモは諦めろぃ。
トマトは、タマリロという熱帯でも育つ近縁種があるから、まあきっと似たようなものが。
ジャガイモはキャッサバで代わりにするか…。
最悪、この2つはなくたってなんとかなるなる。
小麦があれば!
――あ、大豆?
無くたっていいよね、うん。
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