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司法と裁判

  • 作成者:TEK / 2013年65日:本採用
  • ここに記載されているものは参考資料です。セッション中にこのページの記載内容が重要になることはあまり無いでしょう。

ここでは、エンファータ(特にアーベ公国)における、司法と裁判について記載します。
司法と裁判を考える上で重要なのは、アーベ公国のような封建的中央集権国家においては、社会の各セクションで実に様々な仕組みが用意されていたということです。
それを理解するために、各セクションごとの状況を、ご紹介します。

村の司法と裁判 Edit

村というのは、一個の共同体であり、農業・狩猟などによる食料生産を基盤としています。しかし、その共同体には数十人からの人がいます。共産主義国家のように平等に働いて平等に分配されてるならともかく、持ってる農地の大きさとか、収穫量の差、果たしてる仕事の違いなどで、実に細々とした争い事が発生する素地がある、ということです。それらを仲裁し、適切に処理するために、裁判は頻繁に開かれます。

裁判では、村長が、(領地内の裁判権を持つ領主の代理人として)裁判長を務め、判決結果を執行する権限があります。
ただ、村の場合、村長1人で決することはあまりなく、アグラ=イヴァナ神官なども、裁判官グループの常連です。それら村の名士が集会場に集まって、彼らを裁判官として、審理を行うのです。また、重要な裁判では、領主の名代として巡回騎士や代官などが村に来ることもあります。

裁判による処理は、村みたいな閉鎖的な共同体では、極めて重要なので、積極的に活用されます。村の様々な決まり事に違反したとかでも、それにふさわしい賠償等をすべく、裁判が開かれるし、村の中で起きたより重大な事件(殺人とか傷害とか)も裁判で処理します。

村では、フェーデ(決闘)のような処理は行われません。そんなのを認めてたら、共同体に対する弊害が大きすぎるため。そして、判決の多くは、金や物資や資産、追加労働などで弁済できるものだというのも重要です。懲役なんてものに人員・敷地を割く余裕はないし、人的資源をロスするため、判決として懲役刑が課されることは極めて稀です。
ただ、村八分(村からの追放)は刑としてあります。盗みの常習犯とか、あとは、故意の殺人とかは、共同体に有害な存在ということで、追放処置をされるでしょう。

ポイントとしては、「裁判をすることで公平性を保ち、共同体に後腐れを残さない努力をしてる」「罪は金や物資・追加労働などで償うことが可能で、むしろそういう方面で処理される」「(追認にせよ)領主の承認が必要」というところを抑えておいてください。

具体例 Edit


ドッカーノ村で、村人Aが村人Bの耕作用ムィムィを殺した場合

上記のようなケースは、村における裁判案件になります。
この場合、罪状はもう明らかなので、「賠償金の金額を決める」という裁判が行われます。村人Aと村人Bも出席し、村人Aは、情状酌量だとか、「あの耕作用ムィムィはもう病気で死にかけてた」だの、損害を安く見積もるための証人・支援者を用意することもあります。村人Bはその逆を行います。ちなみに、村の資産をBが借りている場合は、複雑になります。Bの管理に手落ちがなかったかどうかも問われるので。

それを聞いた上で、裁判官(村長たち)が、過去の事例とかも参考に適切な賠償金の額を設定し ―― 領主の名のもとに、判決を言い渡すという流れです。

なお、例えば裁判で村人Aは1000rkを支払うとしましょう。そのうち100rkくらいは、領主の懐に入ります。チリも積もればなんとやらで、領地内の裁判で領主が得るお金はバカにならない額なので、その意味でも、裁判は積極的に行われますし、判決結果は賠償金処理が多くなります。


村人Bの耕作用ムィムィが殺された、しかし犯人がわからない場合

この場合は、村長が指揮する村男たちが、調査をします。この調査の結果、例えば村人Aが疑わしいと判明した場合、その村人Aを呼んで罪状認否などの予備審問が行われることもあります。
ちなみに、この調査の結果、「モンスターや異常な理由によるものが原因」となると、冒険者の出番となります。

上訴する Edit

裁判結果に不服がある場合、領主、または大公などより上位の為政者が開く審問に上訴することもできます。仕組みとしては。ただ、実際にはそのようなことが行われるのは、稀です。ただの村人では、上訴するにもそのツテがないですから。
ただし、領主に対して裁判を起こす場合などは、大公などが開く上級審問で処理されます。

における裁判 Edit

」に関しては、狭い空間に居住しているため、それほど裁判事由は多くありません。ですが、そのような事由が発生した場合は、概ね村と同じく処理されます。における裁判の場合、裁判長は長が務め、その判決を執行する権限があります。また、上級員や乗してる司祭・ゲストなどの助言を聞くこともあります。

判決の多くは、追加労働や賃金の減額など、すぐに執行できる罰が大半です。「」における究極の罰は、無人島への追放か、海への追放ですが、反乱を興したとか、殺人などの重大な犯罪を犯したでもないかぎり、この処分をされることはありません。

都市における裁判 Edit

司法官と万民法 Edit

都市は、村という閉鎖的な共同体と違って、開かれた場所で人の数も多いので、司法官が必要になります。司法官には役割が2つあり、1つは犯罪の捜査官 ―― つまり馴染み深い「官憲さん」 ――。そしてもう1つは、今でいう弁護士や検事、裁判官など、裁判に関わる専門家です。

ちなみに、このことからも分かる通り、法律は存在します。村やなどの閉鎖的共同体では、領主が決める成文法もありますが、慣習法が基本です。それまでの判決(慣習)を参考に、というもの。しかし、エンファータの多くの都市では、概ね成文法が採用されており、さらに重要なのは、法体系や過去の判例に熟知する法律の専門家が多数おり、そして、最も重要なことに、万民法が採用されています。

これもアルケナル帝国の遺産ですが、万民法とは、だれにでも等しく適用される法律、ということ。
歴史の曙の頃は、それぞれの都市は分かれてたし、それぞれの都市は、その市民に対して独自の法を作っていました。しかし、アルケナル帝国が成立すると、それら市民法は、帝国の統治に重大な支障をきたすようになります。都市によって法体系が違うことで、大きな問題を引き起こしたのです。

一つ例をあげてみましょう。
帝国都市イスターク市民は、イスターク法によって「非イスターク市民を殺しても罪に問われない」とします。さてこのイスターク市民が他所で殺人を犯した場合どうなるでしょう? ―― アルケナル帝国の初期に、そのような法体系の違いからくる騒動が発生したため、アルケナル帝国は、その強大な権限を使って、帝国臣民全てに適用される法体系を構築しました。これが万民法です。

万民法は、制定されると、非常に便利なので、帝国外にも、次第に普及していきました。特に、エンファータは交易文明世界なので、自分の都市の住人が、他所の都市で「その都市にしか通用しない法律」で裁かれて処刑されたとしたら、ヘタしたら都市間戦争になりかねません。
それは、星霜のためにならないので、ナインズの、特にアル=グラムト=テルタテンプルも、常識的な共通の法体系の普及を支援しました。そしてそれは、法の専門家を生み出す素地ともなり、専門家が増えることで、法治がさらに普及することとなりました。

そのような様々な歴史を経て、今では、エンファータの多くの都市で、だいたい同じ内容の法律が採用されています。また、多くの領主もその法律を採用しているため、村などでも、共通に適用される場合が多いです。もちろん、それぞれの都市や領地で、その土地に根ざした慣習的な法律はありますが、それも、常識的な範囲内の誤差に留まっています。

冒険者の場合 Edit

さて、上記のように、エンファータの星霜世界は法による支配が(おおむね)成立しています。しかし、冒険者はバッタバッタと敵認定を斬り殺してますが、大丈夫なのでしょうか?

―― 結論から言うと、セッションでは語られない様々な理由で、OKになっている、と言えましょう。

冒険者が自由裁量で物事を処理できるのは、いくつか理由があります。
例えば、村長や領主が依頼をした場合 ―― 先程も話しましたが、村長は、その村と周囲のことに関する「裁判権」「判決執行権」を、領主に代わって代理執行する存在です。その権限を、依頼した冒険者に一時的に付与してる、と、法律的には解釈できます。

で、ド辺境。この場合は、文明圏の法体系など存在しないので、力は正義で自由裁量で処理しても、たいていは問題ありません。もっとも、ジェルクエルフセファイトエルフなど、他種族の領域の場合は、彼らの慣習に従わないと、後が大変になりうるのですが。

では、街は……?
街に関しては、一例として、官憲さんに事後報告をして、「緊急事態だし、犯人が捕縛に抵抗したから殺したならしょうがない」と認定されれば何の問題もありません。 商店の護衛してて強盗が入ってきて返り討ちにしてやる、までなら正当防衛でしょう。
その後、強盗が命乞いして、それを認めず殺した場合でも、それも「命乞いする強盗を殺した? まあ過剰な反応だけど… 大目に見るよ、だって強盗だし!」と、大目に見られることがほとんどです。

裁判も量刑も、何のためにするのかというと、共同体や社会の安定のためにするのです。
ですので、明らかな重大犯罪者は、死んで当然です。冒険者は、そういう意味で、フェーデ権(決闘権)を持ってるとも言えます。もちろん、そのフェーデ権は常識的な範囲に留まりますが。罪もない一般市民に因縁つけて殺したりしたら、責任をとってもらうことになります。

法というのは、あくまでも日常生活の範囲内を処理するのが主目的なので、冒険者が扱うような緊急時には、(いわば荒っぽい)自由裁量権やそれに対する免責などもあります。そして、存在意義として、国や領主、行政組織などが目配りしきれない問題を解決し、星霜世界の平和を保つ役割をはたすことを期待されているので、よっぽどの事をしない限り、罪に問われる事はないと考えて良いです。
ですが、それに甘えて無茶苦茶やると、領主:「…(お前らのケツを拭くのにこっちは大層苦労したんだぞ!もっと常識をわきまえろ!)」と思われて、次からお仕事が来なくなることは十分にありえます。注意しましょう。

なお、深淵種族や害獣を退治しても、それが法的に問題になることはありません。勿論ですね!

ディビネーション、センス・ライ、センス・エネミーの有効性 Edit

《ディビネーション》や《センス・ライ》、《センス・エネミー》などの魔法は、司法と裁判においてどれだけの重要性があるか、ですが、結論から先に言うと、司法及び裁判においては、極めて限定された状況下でしか、考慮されません

《センス・ライ》でも《センス・エネミー》でもいいですが、これをもって裁判で有罪とするには、「その魔法をかけられる力があるかどうか」の証明、「その術者が、本当にその魔法をかけたのか」の証明、そして「その術者が、真に正直に判定結果を伝えてるか」の証明が必要になります。

つまり、客観性が保つのが難しい、ということです。事件の調査段階では調査方法の一つとしては有効でしょうが、裁判に持ち込むには、それを使っていかに動かぬ証拠を見つけるかが重要です。

なお、これらの魔法は、証言者の信頼性に関わってくる問題でもあります。仮にアル=グラム最高神官が《センス・エネミー》をかけて、悪だと認定したとしら、裁判でも「事実と認定しても差し支えない」という判決になるでしょう。そして、この章でくどいくらい「裁判においては」と言っている通り、裁判に依らない方法で悪人を裁くなら、これらの魔法も重要なツールになります。

貴族(領主)の場合 Edit

貴族(領主)は、かなり広範な自由をもっています。まず、フェーデ(決闘)で物事を処理する権利があります。そして、自分の領地内では、その領地・領民に対する裁判権・判決執行権があるため、やろうと思えば「切り捨て御免」など、恣意的な運用も可能です。もちろん、好き勝手やり過ぎると、しっぺ返しがきますし、領地経営が成り立たなくなるので、そんな愚かな領主はほとんどいませんが(そして、そんな人は後継者に選ばれない)。

貴族同士の紛争では、互いにフェーデ権を使うと、戦争になるので、より上位の者(アーベ公国の場合、大公)が開く、貴族裁判所での裁判となります。
貴族裁判者の裁判官は、アーベ公国の場合は、大公、そしてナインズの高司祭などで、貴族が選ばれることはあまりありません。横のつながりが多い貴族では公平な審理ができませんし、大公のみが貴族への裁判権を持ってればそれだけで絶対的な権力となるためです。

また、平民などが、貴族(領主)の横暴を訴える場合も、この貴族裁判所で審理が行われます。

ギルドなど組織の司法と裁判 Edit

シーフギルド賢者の学院ナインズテンプルなどは、独自の法を持っており、その法は正メンバーに適用されます。ただし、重要なのは、「その組織内でしか通用しない」法律であり、「世俗の万民法を超えるものではない」ということです。
もっとも、シーフギルドだと勝手に制裁とかしますし、賢者の学院ナインズテンプルがその構成員に対して下した裁きは、世俗の司法組織でも、概ね尊重されます。

テンプルと司法 Edit

アーベ公国貴族裁判所のように、司祭が為政者の要請で裁判官として任じられることもありますし、また、特にアル=グラムト=テルタの司祭の中には、司法官としての専門の知識・経験を詰んでいるものも多くいます。
ですが、テンプルは、(組織としては)世俗の司法には介入せず、世俗の罪を裁くこともありません。人々を支配するのではなく、あくまでも、人々をサポートする役割にとどまっているのです。とはいえ、テンプルは、司法に関してある種の特権的な力を持っています。

サンクチュアリ特権 Edit

テンプルの内部は、世俗の捜査権・裁判権が及びません。テンプルの中で起きたことは、それが外部の人間が引き起こしたことであっても、テンプルが処理します。また、仮に犯罪者などがテンプルに逃げ込んできた場合でも、それを官憲や為政者に引き渡すかどうかは、そのテンプルの司祭の判断で決められます。

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