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コラム/徹人/シティセッションGMガイド

  • 作成者:徹人

ダンジョンものや戦闘もの、ウィルダネス(野外冒険)に比べるとシティセッションをGMするのは一般的に難易度が高いとみられがちで、実際その通りです。
処理もNPCや出す情報、敵対者をはじめとしたNPCの動き方などが絡み合って煩雑になりがち。
PCは次の行動のため情報整理したり、推理したりする必要があるため思考に時間が取られることも多く、普通のセッションより時間がかかりやすい。
しかしシティセッションには
「会話ロールを楽しみやすい」
「どんどん事件の真相が明らかになっていく過程が楽しい」
「戦闘能力の低いキャラクターでもハッタリやけれん味をきかせたり、立ち回りを工夫することで活躍できる」
「情報収集が鍵となるためバードシーフが活躍しやすく、他の技能を持つ人も普段とは違う活躍の仕方ができる。」といった他にない魅力があるため、難しいからといって敬遠するのはもったいない。
そんなわけでシティセッションをするための負担を軽減し、少しでも他の人がやりやすくするためのノウハウをここでまとめてみようと思います。

前提~常識って大事です Edit

当たり前といえば当たり前なのですが、ゲーム内の常識がGMPLともにわかっており、認識が共通化していることがまず必要です。
「こういった情報がどこに行けば手に入るか」「この組織は基本的に何を優先して立ち回るか」ということがお互いにわかっていないと(悪い意味で)予想外の展開になりがちです。
したがってGMは(できればPLも)世界観をよく把握しておくことが望ましいでしょう。特にシーフギルドについてはよく把握しておくべきです。
多少ならそのセッション限りのGMのオリジナル要素と割り切ればいいのですが、世界観の根幹にかかわる部分が外れていると違和感が現れるためやはり基本設定は把握しておくにこしたことはないでしょう。

よく引っかかりやすい部分は「一般的な人間社会では海賊ガルクランはどのようにみられているか」「レングラートの文明レベルではこのアイテムは存在して不自然ではないか」といった部分でしょうか。
極端な例を示します。
前者だと、GMがレングラートでも現代世界と同じように犯罪者にも一定の人権が存在すると間違えて認識してしまっていたら PCが悪人には人権がない!と苛烈な措置を取った時にトラブルになるのは目に見えています。(実際エンファータと違ってグラードではゴブリンにも人権があるため間違えやすい)
後者だと、GMが認識ミスでエンファータにはカメラや血液型の概念が存在すると思って話を進めますと、それを前提にした調査方法を考えて攻略することを望んでおり、対してPC側が思いつかないのでセッションの攻略方法が思いつかない、といった想定ミスがあります。
このようなひどい例はそうそうないと思いますが、細かい部分での認識や常識の齟齬はけっこうありえるため、そのあたりの認識をGMとPLで共有するためにPL発言などで出来る限り認識に対してのフォローをしていくのが望ましいでしょう。

この段階での時間省略法 Edit

最も確実で最も効果的な時間省略法は「人数を絞る」ことです。
人数が少ないほど説明の手間を少なくでき、舞台の大きさがコンパクトになります。
戦闘メインのセッションだと人数が少ないとつらい場合が多く、5~6人はほしいところですが、シティシナリオは情報がメインであるため必ずしも戦闘を重視する必要はなく、ルートによっては戦闘回避も十分可能です。
そのためシナリオや技能次第のところもありますが3,4人でも十分に行うことができます。
慣れてないうちは少人数でセッションを行うのがよいでしょう。ただし人数が少なすぎると率先してアクションを起こしてくれるPLさんがいないこともあるため、そういった人が参加できる際に行うのが良いでしょう。

テキパキと判断し、冗長にならないぐらいの時に行動を起こしてくれる人をセッションに参加させるのは人数を減らす以上の時間対策になりえます。

風呂敷の大きさを決めておく 畳める大きさに! Edit

実はシティシナリオはダンジョンとよく似ています。
事件の犯人やPCの捜すアイテムは「ダンジョンの主」や「お宝」
手がかりとなる情報は「通路」「扉」
シーフギルドや事件現場、酒場といった情報を得る施設が「部屋」や「シーン」
邪魔をするNPCや突発的なトラブルは「モンスター」や「トラップ」と置き換えれば驚くほどぴったりとハマるでしょう。

でも大抵の人からはシティよりもダンジョンの方が難易度が低いと思われています。
それは何故か?

様々な要因がありますが、一番大きいのはダンジョンが「舞台の形がはっきりと存在している」事に対してシティは「舞台の形が曖昧」なことだと思います。
要はダンジョンはどんなところを舞台にして、PCはどう動けば攻略できるのかがイメージしやすい。
「この部屋には入り口の他に左右の通路に繋がる扉があって、中央には宝箱があり、正面には守護者となるモンスターがいる。左の扉の手前には落とし穴が仕掛けられている」という描写はとても見た目がわかりやすく、PCがこれを目にしてどう動くのかすぐに予想がつく。
これをシティシナリオに置き換えると
「このシーンでは酒場とシーフギルド、事件現場で情報収集ができ、事件現場では敵の放った間者が待ち伏せている。シーフギルドで情報を得るには200rkの情報料が必要である。」という感じになります。
舞台とする場所が街全体に及ぶ上に、PCへのボーナスやペナルティも「情報」「間者による妨害」などと形が曖昧です。しかも範囲が広大かつ一見してわからない要素ばかりであるため一つの文章でそれらが全て説明されることはありません。
そしてシティシナリオでは舞台の形がはっきりしていないためGMが想定していない手段をPCが取ってくることも少なくない。
上の例で言えばプリーストのPCが「事件の被害者の死体を調べにティガ・タルナ神殿へ行ってみよう」とかそんな想定外の提案を出したりして、急遽神殿に行くという選択肢が発生しまう。
ダンジョンでいえば急に部屋の通路が一つ増えて、その先にある部屋(神殿)とお宝(情報)も現れるというありえないことになります。

ですので、シティシナリオに慣れていないGMはまずPCの行動範囲をある程度封じ込めることを行いましょう。
TRPG遊戯会で行われるシティシナリオは「ルアーブルが舞台」「期限なし(あるいは実質ないと同じような長期間)」というのが多いですが、これだけだとPCの行動を何一つ制限してないので難度が高いのです。
ただし、そこには行けない、情報は用意してない、などとあれこれダメダメいうのもナンセンスなので、自然にPCが想定外のところへ行かないように工夫します。
 
例えばルアーブルのような大都市ではなく、小さな村を舞台にするとPCが行ける場所が制限されるために取る行動を予想するのが容易になります。
時間の話でいえば、依頼の期間を定めたり(明日までに解決してほしい)、なるべく急いだ方がいい状況にしたり(念のため他の冒険者グループも雇った、長引くと人質などが危険に晒される、など)すると調査する場所も少なく絞ってくれるようになります。
また依頼人などのNPCを同行させて「確か被害者の遺体は既に火葬されてるよ」などと、行く必要のない場所についてはそれとなくその旨を伝えてPCの行動を止めるのもよい手です。

探し物はなんですか? Edit

シティシナリオとはどんなシナリオか? といえば内容は実にさまざま。
「復讐のために事件を起こそうとしているNPCを止めてほしい」「偽造手形の偽造方法を突き止めてほしい」「あくどい商人を暗殺してほしい」「夢の中に現れる人物を探してほしい」「村の中に紛れ込んだワーウルフを探して退治してほしい」etc
GMが最近見かけものの例を上げるだけでも実に様々なシチュエーションがあります。
が、これら全てには共通点があります。それは何かあるいは誰か、もしくはシナリオを達成するための手段を「探す」ということです。
その探したものに対する最終的な措置は、ある時は討伐、ある時は保護、ある時は説得、ある時はそれ自体が報酬とシナリオによりけりですが、シティシナリオとは街中、あるいは村の中で何か・あるいは誰かを探すシナリオといっても過言ではないことがわかるでしょう。
それがわかっていれば、必然的にシティシナリオの構造が掴めてきます。
どんなシティシナリオも基本的にはこのような形になります。

1.依頼があったり、事件に巻き込まれたりしてPCたちがシナリオの核心(犯人やキーアイテム、事件の真相)を探すように仕向ける段階
2.シナリオの核心を探すために「一般的に情報を集めるのに訪ねるであろう場所」へ向かい、手がかりや情報を掴む段階。
3.2で手に入れた情報や時間の経過による状況の変化を元に、更に情報を得られる場所(あるいは探し物がある場所そのもの)を絞り込んで、そこへ向かう段階。
4.探し物と対面し、それに対してアプローチをかける段階。(戦闘や保護、説得など)

当初の探し物と最終的な探し物が違っていたりするような変則的なシナリオもありますが、おおむね大抵のシティシナリオの構造はこの四段階に区切られます。
次項からは1から順番に見ていきましょう。

冒険者さん、事件です! Edit

まずは依頼の段階からいきましょう。
セッションの本領ではないので、出来ればこのシーンはあまり時間をかけたくないものです。しかしこのシーンをしっかりやっておかないと何をどうすればセッションをクリアできるのかがわからなくなるためおざなりにもできません。
会話や説明を冗長にさせず、PCにモチベーションを与え、セッションクリアに何を求められているか示すことが理想です。

やる気が大事! Edit

モチベーションを与えるには、究極的には危険度や難易度に見合った報酬さえ出ればまずなんとかなります。
それだと味気ないのでいかに依頼人が困っているかロールプレイで示したり( 怒り心頭に燃やしたり、依頼人がPCに泣きつくなど)、依頼人自身を助けたい!と思わせるような立場にしたり(か弱い女子供やコネ作っておくと有利な偉い人にしたり)するのがお奨めです。
あとは緊急事態なので事件が解決しない限り街から出られない、事件を放置しておくとPCにも危険が及ぶ、といった巻き込まれ型の導入も効果的です。

PCに提示すべきこと Edit

この段階でPCに示すべきことの一覧です。

・舞台となる場所と範囲
前の項目で言った通りです。場所が狭いほど進行がスムーズになり、場所が広いほど解決手段の応用がきくようになります。
・概要 
依頼人や状況が何を望んでいるかということです。「 さらわれた娘を助けてほしい 」「 盗まれた品物を取り戻してほしい 」「 街からの脱出ルートを探さなければならない 」 など一言で説明できるのが理想です。冗長にしてはいけません。
・報酬 
モノを頼む際には当たり前のことです。 またお金は出ないが事件を解決するとPCは危険や拘束から解放される、といったことも立派な報酬です。
・期限 
言い忘れがちですが、大事な要素。 しっかり指定しておかないと時間をかけてPCは綿密に調査してくる可能性があるため、それとなく含みをもたせて「急いだ方がいい」ようにしたり、明日までに解決しないと大変なことになる、などせっつかせるのも手です。
・解決法 
依頼を達成するための方法や、目標とする人・物です。簡単に言えば「何を探してそれをどうすれば」セッションクリアか、ということです。一番大事な点なので、ここはしっかり説明するべきですがPCに特別親切にする必要はありません、面倒な質問は「わからない」「知らない」「それを調べるのは君達だ」で済ますことも時には必要です。
2段階目の「どこでこの件に関しての情報を得られるか」ということをそれとなく示すのがポイントです。
・リスク 
この事件を解決するにあたって障害となるものの情報です。敵の強大さや事件解決の悪条件など 依頼の概要を聞いて予想がつくようなものや、依頼人が知らないものなら省略してけっこうです。 リスクの大きさが報酬やモチベーションに見合っていないとPCが事件を解決してくれないこともあるので注意。

この段階での時間省略法2 Edit

理想は依頼人などのロールプレイを交えながらこれらを説明することですが、ロールしながらでは時間が取られることが多いため、情報が込み入っていたり一言で説明しづらい場合やPCから質問攻めにされた時はGM発言で要点を箇条書きにして説明することも大事な手法です。
また依頼人本人や依頼人の助手などの同行NPCをつけることで「面倒な質問は後回しでもいい」ということにしやすく、すぐに調査にあたらせることも可能です。
話の内容にもよりますが、この段階は15分~30分以内に収めたいところです。あくまでこの段階はセッションの準備段階です、この段階自体にセッションの旨味はあまりないでてきぱきと。

シーフギルドをコンビニっていうな! Edit

情報収集の段階です。シティセッションの多くは依頼の段階ではまだ断片的で曖昧な情報しか入手できていません。
それを元に「ここで情報を集めれば何かしらの手がかりはつかめるだろう」といった場所にPCたちが分散して手がかりを拾い集めます。
一か所に10分から30分、最初に2~3か所、追加情報に応じて更に+1,2箇所回らせるのがよいでしょう。
PCたちが情報収集をなかなかしてくれない場合はこういった場所のあたりをつけづらい場合があります。そういう時は同行NPCがそれとなく言ったり、冒険者知力判定を行わせるなどして「ここにいけば情報を得られる」ということを教えましょう。
後者の場合判定の達成値が高いほどより有利な情報を得られる場所にあたりをつけさせるようにしていけば複数の進行ルートを作っていた場合でも活用できるでしょう。

小さな村の場合 Edit

村長の家】 主なNPC:村長
村のことをまとめている人の家。それ故に村の歴史や村民情報などが得られやすい。

アグラ・イヴァナ神殿・祠】 主なNPC:アグラ・イヴァナ神官信仰心の厚い村民
アグラ・イヴァナは農村ではメジャーな神様であるためある程度の規模の村には必ず神殿があり、そうでない小さな村でも祠はあります。
神官は頼れる村の相談役に位置づけられることも多く、また人々の交流や行事の中心地という性質上情報も行き交う場所です。

【事件現場】 主なNPC:近隣住民など
事件が起きた場所です。他のスポットと併用してもよいでしょう。重要な手がかりが残っていることもあります。

【被害者の家】 主なNPC:被害者、被害者の家族
病やモンスターの襲撃、住人の失踪などで被害を受けた家です。被害者自身からその時の様子についての情報を直に得られます。重要度の高いスポットです。

【自警団の詰め所】 主なNPC:自警団員 
最近村の周辺に現れるモンスターや、異変、事件の情報が得られます。

【墓場】 主なNPC:墓守、ダークプリースト、アンデッド、亡霊
墓荒らしやダークプリーストの標的になりやすい場所。場合によっては墓を掘り返して情報を得ることも。
墓参りに来たNPCを重要人物の顔見せにするのもよいです。
また未練を残した亡霊が生きている人に伝えたいことを残しているかもしれません。
夜に訪れた場合のみイベント、とかも面白い使い方。

【猟師小屋】 主なNPC:猟師、(今は使われてない場合)ならず者
村から離れた森や山にあるため、村民に知られていない外部の情報が得られることがあります。
また猟師がいる場合最近の動植物の様子やモンスターについての情報も得られるかもしれません。
今は使われていない小屋では山賊やゴブリンなどが住みついていることも。

【見張り櫓】 主なNPC:自警団員
周辺の外敵に備えるための見張り櫓です。外敵だけでなく、天候や遠方で見かけられた不思議なものなど、村の内外についての異変が察知されやすい場所です。漁村では灯台が似たような役目を担えます。

【隠者の庵】 主なNPC:謎の老人、賢者、魔法使いなど
村から離れて、あるいは村の片隅で隠れ住んでいる世捨て人の家。意外な重要人物が住んでいたり、村には場違いな凄腕がいたりするかもしれません。彼らの手を借りるのがセッションのキーであることも多いです。

【野外】 主なNPC:猟師、冒険者、魔物、野生動物、山賊、妖魔、その他モンスター
村の周辺の森や洞窟、うち捨てられた遺跡などのスポットです。
モンスター暗黒神官、山賊などが住みついていることもあり、悪人が潜むのに好都合だったりします。
大暴れしても周辺に被害が出ないため、戦闘させる場所としても人気です。

【港】 主なNPC:漁師、乗り
漁村限定スポット。海での異変や海の魔物についての情報が得られます。セイラーならば情報収集にボーナスをつけてもよいでしょう。

大きな都市の場合 Edit

【事件現場】 主なNPC:近隣住民など
村と同じ。事件が起きた場所です。他のスポットと併用してもよいでしょう。重要な手がかりが残っていることもあります。

【被害者の家】 主なNPC:被害者、被害者の家族
村と同じ。病やモンスターの襲撃、住人の失踪などで被害を受けた家です。被害者自身からその時の様子についての情報を直に得られます。重要度の高いスポットです。

【官憲】 主なNPC:官憲、取り調べ中の犯罪者
都市の周辺で起こった異変、事件の情報が得られます。お尋ね者の似顔絵が張り出してあるかもしれません。犯罪者のアジトや犯罪の兆候を掴めた場合、通報すればバックアップをしてくれるかもしれません。

シーフギルド(共通)】 主なNPC:ギルドメン、ならず者、その他ギルド関係者
シティセッションのほとんどでお世話になる情報源です。表に出回りにくい裏の情報を売買できますが、表の情報もある程度掴めます。
裏社会の筋を通していれば基本的には協力してくれますが、時には事件の黒幕に協力していたり、漁夫の利を目論んでいたり、PCが目標としている物を狙ってくることもあるため注意が必要です。
場合によってはPCが情報を売りつけることもできるのがポイントです。上手くいけばPCのバックアップをしてくれたり、情報と引き換えに別の情報を得ることができるため有効な手段です。
こういった立ち回りは特に対立するギルド同士のパワーバランスを考えてみることが胆となります。どっちのギルドも出し抜かれるのは不本意ですからね。
また高ランクセッションでは大金を支払うことでPCの動きや特定の情報を他の人に渡さないようにする、といったテクニックも状況によっては強力なので頭の片隅に入れておいてよいでしょう。

シーフギルド(海)】 
ルアーブルではトリュアートイスターク市国ではネーロ。海賊や密輸、カジノなど海の犯罪について詳しい場所です。
ルアーブルではシースラムイスタークではダウンタウンの犯罪や近況についても把握していることでしょう。

シーフギルド(陸)】 
ルアーブルではキャスパールイスターク市国ではビアンキ。山賊や内陸への密輸ルートなど陸の犯罪について詳しい場所です。
ルアーブルではイーストエンド、イスタークではアップタウンの犯罪や近況についても把握していることでしょう。またキャスパールは場合によっては深淵と手を組むなど手段を選ばない犯罪に手を出していることもあるため特に「ヤバい」といえるでしょう。

神殿】 主なNPC:神官信者(どの神かによって変わる)
どの神様の神殿を利用するかによって利用法が異なりますが、おおむねその神様の信者が多い階級の者が出入りするためその信者の層を狙い撃ちにした情報収集にうってつけです。学者関係ならソル・パル貴族ならアル・グラム職人ならアグラ・イヴァナといった風に ソル・パル神殿は図書館としての使い方も可能です。
またティガ・タルナ神殿は病気や死者、アンデッドなどについて調べるのに適しているのでそれ関連のセッションでは重要なスポットとなりえます。
事件の被害者や病人がお世話になっていることもあり、被害者から話を聞きだすのにも使えます。
お金さえあればNPCプリーストを雇って魔法をかけてもらうこともできます。メタモルス対策にアルグラム神殿プリーストをやとってセンスイービルしてもらう、という手段も十分にありです。

憩いの森(墓場)】 主なNPC:神官、墓参りに来た人、墓守、妖魔、ダークプリースト、アンデッド
上記のティガ・タルナ神殿がある場所です。(ルアーブル市内にも分社がありますが)
大規模な墓地があるため神殿の関係者だけでは警戒がしきれず、暗黒神官などに使者を悪用されることがあります。
またあまり大っぴらに使われる設定ではありませんが、ピクシーや妖精などの狭間の種族も住みついているため、彼らにしか知らない情報がもたらされるかもしれません。
その他の都市の墓地は村の場合とほぼ同じ使い方ができます。

ランダエ賢者の学院】 主なNPC:学者、魔法使い、学生
魔法関係の情報ならばここの一強。また膨大な図書が収蔵されているため、各地の伝説やマイナーなモンスターに対する情報源としても有効。
お金と時間さえあればセッション中に手に入れた用途不明のアイテムを鑑定することや、NPCソーサラーを雇って魔法を使ってもらうことも可能です。使い方次第で面白いことができるでしょう。

【酒場】 主なNPC:酒場のマスター、冒険者、ならず者、労働者、バードなど
市民の何気ない会話や、根も葉もない噂、気になる情報が集まる場所です。バードが演奏したり、PCが高いメニューを頼んだりすると好印象をもたれます。また酒場にいるバードや店主は情報通であることが多いので、シーフギルドを利用できない場合などは特に頼れる存在となることでしょう。

【都市内ダンジョン】 主なNPC:モンスター、ならず者
廃屋、無人の館、地下水路など 市内にあって人が近づかない場所です。
悪党のアジトになっていたり、怪しげな研究が繰り広げられたり、モンスターの巣窟になっていたりすることがあります。
周辺に被害が出にくいため、戦闘させる場所としても有効です。

【港】 主なNPC:セイラー、旅人、商人、海賊
乗りや漁師、旅人が出入りする場所です。舶来品や海、海賊についての情報が得られやすいです。PCがセイラーなら情報収集判定にボーナスがつけるなどといったこともできます。
ルアーブルにはホエールドルフィン、シャークの3つの港があるため仕入れたい情報や起こしたいイベントによって使い分けるのがよいでしょう。

【往来】 主なNPC:場所や状況によって様々
犬も歩けばなんとやら、特に情報を得られる場所がはっきりしない場合ではそのあたりをぶらついてみるのも一興でしょう。
事件現場周辺ならば目撃者がいるかもしれないし、スラムの近くなら犯罪情報、商業区の近くなら商人の情報と場所によって得られる情報の傾向がある程度指定できるのでここを使う際はなるべく具体的にどこどこといった形で提案しましょう。

情報に優先順位をつけろ! Edit

GM初心者によくあるのが「背景を綿密に作り上げた、あるいは情報をたくさん用意したのでそれを可能な限り表に出したい」という欲求です。
GMはよりセッションを盛り上げ、物語としての形を作っていきたいわけですからそれも当然でしょう。
しかし、時間に十分余裕があればいいでしょうが必ずしも毎回そう言う機会に恵まれているとは限りません。
情報に優先順位をつけることで時間調整をやりやすくします。

ここ重要! Edit

情報量が多いのは基本的によいことです。
ただし、多くなってきたら「まず重要な情報だけを1~3つ抜き出してください」
重要な情報というのは

「次にここにいけばいい」
「誰を(何を)どうにかすればセッションが解決されるか」
「誰を(何を)どうしてしまうとセッションが失敗になってしまうか」といったことです。

例としては敵のアジト、次に襲撃される地点、敵の正体と目的、重要人物(アイテム)の居場所、現象の原因など。
時間の進捗を見つつ、それらの情報を適宜得られるようにしていけば安定してセッション時間を調整することが可能でしょう。
余裕があったり、話に深みを与えたい時は枝葉にあたる情報を交えるのもよいでしょう。
そういった情報はセッションクリアの条件ではなく、セッション分岐の条件に使いやすいのです。

解決の形、様々 Edit

セッションはハッピーエンドだけの一本道ルートでも全然構いませんが、やはりゲームである以上バッドエンドや複数のルートによる影響の変化はあるとより深みのあるセッションが作れます。
バッドエンドがありえるということはそれだけで緊張感とハッピーエンドになった時の充実感が違います。
ということで、ちょこっと応用編ということで複数分岐や複数エンディングの作り方をここで解説します。

セッションを解決するにあたって必須ではない「余裕があったり、話に深みを与えたい時は枝葉にあたる情報」これが鍵です。
これらの必須でない情報は必須でない故に「セッションの分岐」「エンディングの形」を左右する条件に使いやすいのです。
ベストエンド、あるいはバッドエンドのためのフラグを入れやすい、ということです。
線路に例えれば、必須情報がレール、必須でない情報が分岐器(ポイント)といってみればわかりやすいでしょうか。
枝葉にあたる情報次第でPCが敵に対するアプローチのかけかたが違ってくることも多いので、複数のエンディングを用意したい場合は上手く使うとよいでしょう。
一つの情報を入手したら事件の見方が180度変わる、などPCに大きな影響を与える可能性もあり、ここ次第でセッションの質を左右する重要な条件になりえます。
例としては

「敵の動機」
「依頼人の動機」
「事件が起きてから影響を受けているもの」
「敵の戦力や弱点、協力者」
「重要アイテムの由来」
「もしセッションが失敗した場合の影響、結果予想」
「第三者の動き」などです。

敵の動機がわかれば、説得や取引など戦闘以外のセッションクリア方法を思いつくかもしれませんし、依頼人がPCに隠している動機がわかると、実は知らず知らず悪事の片棒を担がされている、などの事実が見えてくるかもしれません。
事件の影響から、何も考えずに事件を解決してしまうと大変なことになってしまう事実がわかるかもしれませんし、敵の戦力や弱点、協力者などの情報が分かれば事件をスムーズに解決することが可能です。
重要アイテムの由来が分かればただ手に入れればいいだけのものではないことがわかったり、本来の持ち主などがわかったりするかもしれませんし、セッションが失敗した場合の影響を知ればそれを対策することもできます。
また、事件に暗躍する第三者や黒幕の存在に気づくことで、第三者の漁夫の利を阻止したり、黒幕の尻尾を掴んで引きずり落とすこともできるでしょう。
このように、枝葉の情報をエンディングの分岐の条件にするのも良い手です。

例としては 敵の動機が「病気の娘を助けるため」とかだったりすると、何も考えずに敵にとどめを刺してしまうとハッピーエンドの最後に「 その後君たちは風の噂であの悪党の娘さんは重い病気をわずらってて、親父が死んだのを追うようにして亡くなったようだよ という話を聞いた」 とか入れて微妙に後味悪くさせるとかです。

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